脂肪が付いている人ほど冷えやすい
皮下脂肪が多いと、体は冷えないのでは?」は大間違い。確かに、皮下脂肪は体の内側の熱を逃さをい断熱材としての働きをしています。しかし、脂肪には、冷えにくく、温まりにくいという性質があるため、何らかの原因で、いったん体が冷えてしまうと、外側から体を温めようとしても、なかをか温まりません。また、脂肪が厚くなるほど、血液循環も悪くなってしまいます。
冷えによる体の不調
冷えが原因で不調や症状がでるのは、風邪、肩こり、頭痛、骨折、便秘、肌荒れ、動脈硬化、心筋梗塞、狭心症と生活習慣病から大きな循環器の病気まで様々です。とくに高齢者は要注意。年齢を重ねるほど、基礎代謝が低下し、熱をつくる量が少なくなるため、体は冷えやすくなります。冷え症は治らないと諦めてしまう人も多いようですが、そのままにしておくと、ますます病気を呼び込む可能性が高まってしまいます。食事や生活習慣などを注意することで、根本的に解消していくことが大切です。冷えを解消するには、手、足先、おなかからまず温める
冷え体質を改善するために、まず温めたいのが、手、足先、おなかの3カ所です。手と足先は心臓から最も遠い位置にあるので、血液が届きにくく、最も冷えやすい場所。冷えて血管が収縮すると、全身の血液循環が悪くなり、冷えが悪化します。また、おなかを冷やすと、自律神経のバランスが乱れ、体全体の不調を引き起こすのです。冷えを解消するには、これらの最も冷えやすい場所を最優先に温めることが大切です。
手「手の甲さすりと指先マッサージ」
寒さを感じたときに、思わず手のひらをこすってしまう方も多いのではないでしょうか?この仕草、なんとなく体が温まるよう気がしますが、じつは手のひらは血管が少ないので、筋肉を刺激しているだけで、根本的な冷えの解消にはつながりません。
手をこするのであれば、手のひらより手の甲がおすすめです。手の甲には、手のひらに比べて、血管が多く走っているので、手のひらをこするよりも効率的に体を温めることができます。
また、手の甲の手首近くには、東洋医学で「陽池」と呼ばれる熱をためるツボがありますが、手の甲をこすることで、このツボが自然に刺激されるため、手を中心に体全体が温まってきます。手のひらの刺激は一時的ですが、手の甲の刺激は、持続的に体を温めることができるのです。
指先から付け根へ1本ずつマッサージ
体が冷えやすい原因のひとつとしてあげられるのが自律神経のバランスの乱れです。自律神経には活動的な状態に体を整える交感神経と、体と心をリラックスさせる副交感神経の2種類があって、この2つの神経が絶妙にバランスをとりながら、体温の調節や血液循環など、体の各器官の機能を自動的にコントロールする働きをしています。しかし、この自律神経のバランスが、肉体的な疲労や精神的なストレスなどが原因で乱れると、体温の調節がうまくできなくなったり、血液循環が悪くなるので、体が冷えてしまうのです。冷え症の人は、指先が緊張して、末梢血管が収縮し、慢性的に血行が悪くなっていることが多いので、指先をマッサージしてほぐし、自律神経の緊張をゆるめることで、冷えを解消することができます。手の甲こすりとともに、手の指を1本ずつゆっくりマッサージしていきましょう。ポイントは、マッサージする方向です。指先から根元に向かって押し下げるようにマッサージしていきます。指先がほぐれてリラックスし、指先の血液循環がよくなると、温まった血液が腕から心臓に向かって戻っていくため、上半身全体を長時間、ポカポカに温めることができます。
足「冷え防止には5本指ソックス」
睡眠中は素足で足首に靴下
足先の冷えが気になるときは、靴下をはいて布団に入る方も多いようですが、じつはこの方法も冷え対策としてはあまり効果がありません。靴下をはいて寝ると、重ねばきをするのとおなじように、足先が締めつけられて血液循環が悪くなってしまいます。また、寝ているあいだに布団の中で蒸れて熱くなってしまい、いつの間にか脱いでしまった、ということも多いのではないでしょうか?
いちばんよいのは、素足のままで足首だけを温める方法です。使ぅのは、5本指ソックスのつま先をカットした残りの部分。これをレッグウォーマーのように足首にっけ、くるぶしの部分を中心に温めるだけで、足先を効率的に温めることができるのです。
つま先は素足のままですが、靴下をはくよりも足全体がじっくり温まることを実感できます。締めつけがきついタイプの靴下はかえって血液循環が悪くなってしまうので、ゆったりしたタイプを選ぶのがポイントです。
三陰交のツポをマッサージしてから布団の中へ

足首のくるぶしの内側には、下半身の冷えに効果がある「三陰交」と呼ばれるツボがあります。寝る前に、このツボを指圧したり、マッサージしてから眠ると、足が温まり、冷えを感じないで安眠することができます。冷え症のほか、生理不順、更年期障害に伴うさまざまな症状にも効果があるツボです。
お腹「しっかり温めて内臓の働きを整える
女性はお腹が命
女性はとくに下腹部の冷えを訴えることがありますが、女性の下腹部は、子宮や卵巣などの臓器が収まった大切な場所。これらの臓器がスムーズに働くためには、大量の血液を必要としますが、冷えてしまうと血液循環が悪くなるため、生理痛や生理不順、さらには子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系の病気にもつながることがあります。腹巻き一体型パンツ
腹巻きをするのは、おなかの冷え防止に、とても効果がありますが、しているうちに次第にずり上がってくるのが難点。その部分から熟も逃げてしまいます。おすすめは、腹巻き一体型パンツです。外出時や睡眠中もおなかをしっかり温めてくれます。しょうが紅茶
なかの冷えを防いで、全身を温める効果が高い飲み物としておすすめしたいのが紅茶です。東洋医学では、体を温める食べ物を「陽」、体を冷やす食べ物を「陰」に分けて考えますが、もともと熱い地域で育つ茶葉菓を原料にした緑茶、コーヒーなどは、体を冷やす飲み物と考えられています。
しかし、発酵させたり火であぶったお茶は、体を冷やす作用が弱まり、体を温める作用が高まります。
紅茶は緑茶を発酵させたものですから、寒い冬には体をポカポカに温めてくれるのです。この紅茶にすりおろしたショウガを入れることで体を温める作用がさらにアップします。ショウガは体を温める「陽」の代表的な食べ物。ショウガに含まれるジンゲロン、ショウガオールなどの成分が、体を芯から温均新陳代謝も活発にします。ショウガ紅茶の作り方はこちら。
ほうれんそうが体を温める
体を温める食べ物というと、まずトウガラシなどの辛いものが思い浮かびます。確かに、トウガラシが含まれた食べ物を適量食べるのは効果がありますが、大量に食べてしまうと、食べた後に汗をかくため、一時的に体は温まっても、結局は冷えてしまうのです。冷えに効果的な食べ物は意外にも、トウガラシなどの辛いものよりも、ホウレンソウなどの青菜類。なぜなら、体が冷えやすい人には、貧血の人が多いからです。
貧血は、体の隅々まで酸素を運ぶヘモグロビン(赤血球)が不足した状態。このヘモグロビンが不足すると、各細胞が酸素不足になるため、体の機能がスムーズに働かなくなり、エネルギーの燃焼が不完全に。結果的に体に冷えをもたらす結果になってしまいます。
鉄分が不足すると、ヘモグロビンがうまくつくれなくなるため、一時的ではなく根本的に体の冷えを解消するには、鉄分を補う食べ物を積極的に取る必要があります。豚肉、鶏のレバーなど、鉄分が豊富に含まれる食べ物にもいろいろな種類がありますが、価格的にも手に入りやすく、調理しやすいホウレンソウなどの青菜類はとくにおすすめです。ほうれん草は、もともと鉄分が多い野菜として知られていますが、体内で吸収される量はわずかです。卵などの動物性タンパク質と一緒に摂ると、鉄の吸収やはたらきがさらに良くなります。
卵と一緒に炒めるといいですね。