
これらの人は汚れた血液を浄化するために、血管の内壁に老廃物や脂肪を沈着させようとする反応を起こします。これが「動脈硬化」です。
動脈硬化になると血液の通り道が狭くなってしまい、全身60兆個の細胞への栄養供給が十分でなくなってしまいます。
そのため、心臓は通常より力を入れて血液を押し出そうと無理をします。これが「高血圧」です。
高血圧とは、「血液が汚れている」「血管が細くなっている」というサインだと考えていいでしょう。
西洋医学では、高血圧は脳卒中や心筋梗塞の引き金と考えられている。したがって心臓の力を弱める「β・ブロッカー製剤」や「血管拡張剤」などを用いて、躍起になって血圧を下げようとします。
しかし、最新のデータによれば、降圧剤で血圧を十分にコントロールしていても、脳卒中の40% 、心筋梗塞の12% しか発症を抑えられないということがわかっています。つまり、脳卒中の60% 、心筋梗塞の8% は、血圧をコントロールしても発症するということです。
また、たとえ血管の内壁に老廃物と脂肪を沈着させることで血液を浄化しようとしても、食べすぎや肉食過剰、運動不足が続くと、もうそれ以上、動脈の内壁は細くできない、という限界がきます。そうなると、血液中の老廃物を1ヶ所にまとめ、そこで「血栓」をつくり、残りの汚れた血液をキレイにするしか方法かありません。
西洋医学では、この血栓の原因を「血小板の粘着能が促進し、その結果、赤血球やコレステロールやフィプリンをくつつけて固めるため」と解釈します。
なぜ、血栓ができてしまうのか、という哲学、大もとの考え方が欠如しているためです。血栓をつくらない人は、「出血」という形で血液をキレイにしようとする反応が起こるのです。
たとえば、鼻血、歯ぐきからの出血、痔出血、婦人の不正出血などは血液の浄化反応なのであり、胃や十二指腸潰瘍の出血や脳出血も同様です。
血の浄化反応を利用した治療法として、古くから「瀉血療法」があります。これは人為的に出血させ、体内の汚れた血液をキレイにして病気を治そうとする治療法です。
つい最近、日本の9つの大学病院で、C 型肝炎に対してこの瀉血療法を始めたというニュースがありました。ま
ドイツでは、自然療法科という診療科があります。ここではさまざまな生薬や温熱療法などの自然療法の中のひとつに、ヒルに血を吸わせてがんやリウマチを治すという瀉血療法が行なわれていました。
しかし、西洋医学では、「血栓」の治療に対してはそれを溶かす血栓溶解剤を、また、「出血」に対しては血液を固まらせるような薬剤を使います。
一方、漢方医学では、「血栓」に対しても、「出血」に対しても使う薬は同じ。それは駆瘀血剤という血液の汚れを取る薬。
要するに血栓も出血も形は違えど血液の汚れから生ずる同じ反応と考えているわけなのだ。血栓と同じような過程で生じる病気として、にようろけつせきほうこう尿路結石(腎結石、勝胱結石) や胆石がある。尿や胆汁は腎臓、肝臓で血液が原料となりつくられます。そのため、血液が汚れていれば、当然、尿や胆汁の中の老廃物や余剰物も多く、汚れていることになります。そこで、尿や胆汁の流れをサラサラにするために、老廃物や余剰物を固めて、排せつしようとする反応が起こる。それが尿路結石や胆石になるのです。